1. 今回のご依頼は「LDKの床の張替え」
先日、リフォームの現調(現地調査)に伺いました。お客様からのご依頼内容は、LDKの床の張替え工事です。
床の張替えは、リフォームの中でも費用がまとまった金額になりやすい工事です。お客様もきっと「そろそろ替え時かな」と、いろいろ悩んだうえでご相談くださったのだと思います。その気持ちを受け止めたうえで、まずは現場の状態を正確に見極めることから始めました。
2. 築45年以上が当たり前の私たちの感覚
お伺いしたのは築25年ほどのお宅でした。外観の佇まいも、それほど古い感じはしません。
じつは、私たちダイクスマイルが普段扱う物件の大半は築45年以上です。傷みや経年劣化がしっかり出た現場を見慣れているため、築25年と聞くと「まだまだ新しいお宅だな」と感じてしまいます。良くも悪くも、日頃の現場に目が慣れているのかもしれません。
ただ、その感覚があるからこそ、「本当に今、手を入れる必要があるのか」を冷静に判断できる面もあると思っています。
3. 床は驚くほどきれいな状態でした
張替えを希望されているお部屋を拝見すると、第一印象のとおり、いたってきれいな状態でした。
お客様にお話を伺うと、「古いフローリングの上にCF材(クッションフロア)を貼ったんです」とのこと。なるほど、CF材が上から貼られているおかげで、表面の見た目がとてもきれいに保たれているのです。
CF材は、塩化ビニル系のシート状の床材です。施工しやすく、水や汚れにも強い素材として、住宅の床リフォームでよく使われています。ただ、上から貼ってあるために、下のフローリングがどんな状態なのかは見ただけでは分かりません。
4. 体重をかけて確認したフローリングの状態
そこで、下のフローリングの状態を確かめるために、まずお客様に気になっている点を詳しくお聞きしました。そのうえで、気になる箇所を中心に、体重をかけながら足で踏んで確認していきます。
見るポイントは主に次のようなところです。
- 踏んだときに床鳴りがしないか
- 一部分だけがプカプカと浮いたような感触がないか
- 沈み込みや傾きがないか
結果は、「ん〜、これは…問題ない?」というものでした。床鳴りはなく、一部だけが浮いているような状態でもありません。お部屋の隅々まで確認しても、気になる症状は見つかりませんでした。
5. 大工歴50年の親方の判断
今回の現調には、大工歴50年の親方にも同行してもらっていました。親方にもLDKの隅々まで確認してもらった結果、見立ては私と同じでした。
「床自体を張り替えるような傷みは出ていない」
長年の経験を持つ親方の目でも、そう判断したのです。親方は日頃から「直すところがあるからこそ、技術が活きる」と話しています。傷んでいない床を張り替えても、大工の技術が活きる場面とは言えません。必要な場所に、必要な技術を使う。それが私たちの仕事だと考えています。
6. 「修復リフォーム」と「イメージチェンジのリフォーム」
ただし、リフォームには2つの種類があります。
ひとつは、傷んだ箇所を直す修復のためのリフォーム。もうひとつは、傷みはなくても、見た目を自分のイメージどおりにしたいというイメージチェンジのためのリフォームです。
後者も、住まいをより気に入っていただくための大切な理由です。決して否定するものではありません。
そこで今回は、「床の状態としては張替えが必要な傷みはない」という事実と、「見た目を変えたいのであれば張替えという選択肢もある」という両方をしっかりご説明しました。そのうえで、どうするかはお客様にご判断いただくことにしました。大切なのは、お客様が納得して選べることだと思うからです。
7. 使える部材は、できるだけ残す
私たちプロの目から見ると、まだまだ使える箇所や部材があるにもかかわらず、年数や見た目だけを理由にリフォームされるお客様がいらっしゃいます。
「古くなったから新しくしなければ」という思い込みは、決して珍しくありません。しかし、年数が経っていても、きちんと使える部分はたくさんあります。
ダイクスマイルは、**「使える箇所・使える部材は、極力残してリフォームする」**ことをモットーに、お客様へご提案しています。残せるものを残せば、費用を抑えられるだけでなく、廃材も減らせます。お客様にとっても、環境にとっても、よいことだと考えています。
8. お客様が出された答えは「今回は見送り」
ご説明を聞いたお客様は、こうおっしゃいました。
「大工さんにそこまで言っていただけるなら、安心しました」
その結果、今回のリフォームは一旦取りやめることになりました。
ここで、ふと想像してしまいます。もしかすると、リフォーム店によっては、このままご依頼を受けてフローリングの張替えをしていたのではないか、と。床の張替えとなれば、40〜50万円ほどの工事です。傷みがなくても、お客様が張替えを希望されている以上、工事として成立してしまいます。
もちろん、すべてのリフォーム店がそうだというわけではありません。ただ、お客様からすると、プロの「判断」が本当に自分のためのものなのか、見極めるのはとても難しいことです。
9. 「後ろめたい気持ちを引きずりたくない」
この件について、親方はこう言いました。
「後ろめたい気持ちを引きずりながら仕事はしたくない!」
この言葉に、ダイクスマイルの姿勢がすべて詰まっていると思います。必要のない工事を請け負えば、その場の売上にはなるかもしれません。しかし、お客様に正直でいられない仕事は、職人として誇れるものではないのです。
私たちが大切にしたいのは、工事を受けることではなく、お客様の住まいを長く、いい状態で保つお手伝いをすることです。
10. 「また連絡します」の一言が嬉しかった
工事のご依頼にはなりませんでしたが、帰り際、お客様からとても嬉しいお言葉をいただきました。
「築25年なので、これからいろいろ修復する箇所が出てくると思います。そのときは、必ず連絡しますね」
工事をお断りした形になったにもかかわらず、次の機会に声をかけていただける。私たちにとって、これ以上の励みはありません。築25年というと、設備の更新や水回りの傷み、外まわりのメンテナンスなど、少しずつ気になる箇所が出てくる時期でもあります。そのときに「あの会社なら正直に見てくれる」と思い出していただけるのなら、今回の現調には大きな意味があったと感じています。
11. まとめ:リフォームを提案し、お断りもできる修理専門店でありたい
今回の現調を通じて、改めて感じたことをまとめます。
- 見た目がきれいでも、下地の状態は確認が必要
- 床鳴りや浮き、沈みがなければ、張替えが必須とは限らない
- 修復のリフォームと、イメージチェンジのリフォームは分けて考える
- 使える箇所・部材は、できるだけ残すという選択肢がある
ダイクスマイルは、これからもリフォームを提案し、そしてリフォームをお断りすることもできる修理専門店でありたいと思っています。
「うちの床、本当に張り替えたほうがいいの?」「見た目は古いけれど、直す必要があるのか知りたい」
そんなお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。大工歴50年の親方とともに、プロの目で正直にお答えします。


コメント