築35年ベランダの雨漏り、原因は「見えない穴」だった

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1階和室の天井にできたシミ。その原因をたどっていくと、2階ベランダの下地は、足を乗せただけで沈み込むほど腐っていました。

1. 長雨の後に起きた、1階和室の雨漏り

今回ご紹介するのは、あるお客様宅で発生した雨漏りの修理事例です。ご依頼のきっかけは、1階和室の天井に現れたシミでした。

お話をうかがうと、これまで大きな異常は感じていなかったとのこと。しかし今月続いた長雨の影響で、これまで表に出てこなかった小さな浸水が、生活に支障をきたすほどの雨漏りとなって姿を現したのではないかと考えられました。雨漏りは一度にたくさんの雨が降ったときよりも、こうした長雨がじわじわと建物に入り込んだときに、思わぬ形で症状が出ることが少なくありません。

写真ご相談のきっかけとなった、1階和室の天井のシミ。長雨のあとに範囲が広がった。

2. 雨漏り修理がむずかしい本当の理由

雨漏りの修理は、リフォームの中でも特に難易度の高い工事のひとつです。理由は単純で、「水がどこから入っているのか」を正確に突き止めるのが非常に難しいからです。

雨水は天井や壁の中を伝って、シミが出ている場所とはまったく違う位置から侵入していることが珍しくありません。表面のシミだけを見て安易に補修しても、原因そのものが残っていれば、時間が経ってまた同じ症状がぶり返してしまいます。だからこそ、雨漏りの修理では「シミの真上に何があるか」を一つひとつ確認していく地道な調査が欠かせません。

今回もまず行ったのは、雨漏りしている1階天井の真上、つまり2階部分がどのような構造になっているかを確認することでした。

3. 疑いはベランダへ―築35年という数字

調査の結果、雨漏りしていた1階和室の真上は、ちょうど2階のベランダにあたる位置であることがわかりました。しかもこのベランダ、半分にしか屋根がかかっておらず、残り半分は屋根のない、雨が直接吹き込むタイプの造りになっていたのです。

もちろんベランダの床には防水処理が施されていました。しかし、このお住まいは築35年。防水材にも当然、寿命があります。年数を考えれば、雨漏りの原因はこのベランダにあるのではないか―そう見当をつけて調査を進めることにしました。

床の構成を確認すると、下から防水シート、その上に人工芝、さらにその上にはめ込み式のタイルが敷き詰められている仕様でした。見た目にはきれいに整えられていても、その下で何が起きているかは、めくってみるまでわかりません。

4. 足で探る―「プニュプニュ」が教えてくれたこと

ここからは、経験がものを言う作業です。ベランダの端から一歩ずつ、体重をかけながら床面を足で押していきました。しっかりした下地であれば、体重をかけてもびくともしません。逆に下地が傷んでいる場所は、踏んだ瞬間に感触で分かります。

そうして進んでいくと、ある一角で足裏に伝わる感触が明らかに変わりました。「プニュプニュ」とした、明らかに柔らかい感触です。健全な床面ではまず起こらない反応で、この時点で「ここが怪しい」という確信に変わりました。

5. タイルをめくって見えたもの

怪しい箇所が見つかったら、次はそこを実際に開けて確認します。柔らかい感触があった場所のタイルと人工芝をめくってみると、そこには想像以上の状態が広がっていました。

写真タイルと人工芝を外すと、防水シートに穴が開き、下地の合板(コンパネ)や根太まで腐食してボロボロの状態になっていた。

防水シートそのものに穴が開いており、その下にある下地の合板(コンパネ)や根太までもが腐食し、ボロボロに崩れていたのです。しかも穴の奥をのぞくと、1階天井の断熱材まで見えてしまうほど。ここまで来ると、原因は一つの仮説として、かなり明確に見えてきます。

考えられる浸水のルート
防水シートの破損 → 下地木材の腐食・崩落 → 隙間から1階天井の断熱材へ浸水 → 断熱材が水を吸いきれなくなり、天井のシミ・雨漏りとして表面化。

長年、少しずつ吸い込まれてきた雨水を、断熱材がどうにか受け止めていた。しかし今月の長雨で、その許容量を超えてしまった―そう考えると、症状が急に悪化したタイミングにも納得がいきます。

6. もうひとつの傷み―軒天の腐食

調査はベランダの床だけにとどまりませんでした。ベランダから雨水を排水する樋(とい)の受け部分、ちょうど1階の軒天(のきてん)にあたる箇所にも、はっきりとした腐食が見つかったのです。

写真ベランダから雨水を流す樋受け部分(1階軒天)。木材が黒く変色し、腐食が進んでいるのが分かる。

こちらも長雨によって症状が進んだ可能性が高く、ベランダの防水劣化と合わせて、複数の弱点が同時に露呈した状態だったと言えます。雨漏りの現場では、こうして「原因はひとつではなかった」というケースが実際には少なくありません。


7. 今回行った工事の内容

原因が明らかになったところで、今回のリフォーム内容を決定しました。ポイントは、表面だけを塞ぐのではなく、傷んでしまった構造そのものをつくり直すことです。

ベランダ下地の張り替え工事

腐食した根太と合板を撤去し、ベランダ全体に新しく根太を渡したうえで、合板(コンパネ)を敷き詰め直しました。見えない部分だからこそ、ここをしっかりつくることが、今後何十年と雨漏りを再発させないための土台になります。

FRP防水工事(専門業者による施工)

下地を新しくした上には、別途、防水を専門とする業者にFRP防水工事を依頼しました。FRPは硬化後の耐久性と防水性に優れており、屋根のない部分から雨が吹き込むこのベランダの構造にも適した工法です。下地工事と防水工事、それぞれの専門性を組み合わせることで、仕上がりの信頼性を高めています。

8. まとめ―雨漏り修理で大切にしていること

今回の工事により、1階和室の雨漏りは無事に解決し、お客様にも大変ご満足いただくことができました。

雨漏りの修理でもっとも大切なのは、シミや水染みといった「結果」だけを見て終わらせず、その奥にある「原因」までさかのぼって確認することだと、あらためて感じた現場でした。今回のように、天井のシミの真上にあるベランダの下地が、目に見えないところで長い時間をかけて傷んでいたケースは決して珍しくありません。

「最近、天井にシミができた」「雨の日だけ壁に湿気を感じる」―そんな小さなサインに気づいたときは、放置せずに一度、専門家による調査をおすすめします。

※本記事は実際の施工事例をもとに構成しています。建物の構造や築年数、劣化状況によって最適な工事内容は異なりますので、気になる症状がある場合は現地調査のうえでの診断をおすすめします。施工事例レポート ― 雨漏り修理(1階和室・2階ベランダ下地工事)

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